肩こり(左肩)
30代 女性
最近、左肩こりや左耳の詰まった感じがするとのことでした。
姿勢の観察をすると
①確かに左の肩が少し上がり気味に見受けられました。
ご本人もそれに気が付いていて、気になっていたようでした。
そして、
②右の背中が少し張っていて右肩はそれに引っ張られるように、下がったようになっていました。
この状態を内臓のバランスから考えて肝臓の緊張と推測して、左肩の緊張は肝臓をコントロールしている
左迷走神経の緊張と考えました。
とりあえず、左の肩から首筋の緊張を調整してみることにしましたが、
調整に入る前に、最近、取り入れている*ヒモトレの方法を取り入れて、首にネックレスのように
ヒモを輪にしてつけてみました。
そうすると、それだけで最初のコリが10だとすると、7くらいまで軽減しました。
ヒモトレがバランス調整になぜ有効なのかという、医学的な機序はまだわかっていません。
ただ、皮膚からの軽い刺激がからだの中のバランスを取る仕組みにスイッチを入るのは間違いありません。おそらく運動の統合を主る小脳や大脳基底核なども関与していると考えられます。
そして、頭の後ろに手を組んで、後頭骨を掌でバレーボールのトスのように軽く上に引き上げるような操体法 セルフケアをその場でしていただきました。
(この時の、肘の使い方やみぞおち、腹筋の使いかたがポイントなのですが、詳しくは又別の機会に書きますね。)
結局、左肩のコリは、首のヒモトレと操体法 セルフケアでほとんどラクになってしまいました。
しかし、そこで改めて確認すると
③左腰の後ろへの張り出しが観察されました。
座位のバランスも重心が左の坐骨外側に流れ気味です。
左腎臓の下垂傾向の現われと判断して、ここから鍼灸による経絡調整や操体法でバランスを整えることをしました。
今回のケースは、表の肩こりの症状が落ち着いたら、奥に潜んでいた腎臓のバランスが浮き出てきた症例でした。
「肝腎要め」(かんじんかなめ)とはよく言ったものですね。
*ヒモトレ トレーナの小関勲先生が提唱なさっている、健康法のひとつ。
医学的機序は不明な点が多いが、臨床的に効果が確認できるので、セルフケアにとどまらず、
介護やリハビリの分野で特に注目されている。